理事長あいさつ
2020年8月関東ジェンダー医療協議会を設立しました。
われわれ性同一性障害の治療に従事する医療従事者には、日本精神神経学会の策定した性同一性障害治療ガイドラインの遵守が求めらます。特に生殖機能を全廃する性別適合手術などは、母体保護法28条への抵触を回避するために、性別適合手術適応判定会議での十分な検討と承認が必須となります。
関東圏では、主に個々の大学病院やクリニックが個別にジェンダー医療を実施してきました。2018年4月に、性別適合手術と乳房切除術の公的保険適用が開始されましたが、保険適用で手術を受けるための条件として、判定会議での手術適応の承認(治療ガイドラインの遵守)に加えて、GID学会認定医資格の取得、さらには実施施設の施設基準などが示されました。公的保険適用で手術を実施するためには厳しい条件をクリアする必要があると言えます。
関東圏には、埼玉医科大学ジェンダー医療推進委員会をはじめ、いくつかの手術適応判定委員会が組織されています。しかし、それらの医療チームに所属しないがこの医療に真摯に取り組む医師も多数存在します。
そこで、われわれは関東圏に存在する思いを同じくする医師らが、所属施設の垣根を越えて医療チームを形成する必要があると考えました。
当協議会は、判定会議機能の提供に加えて、参加医師の情報交換、医療技術の研鑽などを行います。これらは、当事者の方々により質の高い医療を提供することにつながると考えます。
2020年9月
一般社団法人 関東ジェンダー医療協議会 理事長
百澤 明